映画

映画『兄を持ち運べるサイズに』|“迷惑な兄”の死から始まる、家族をもう一度見つめ直す4日間

映画

【本編シーン公開】『兄を持ち運べるサイズに』

映画『兄を持ち運べるサイズに』概要

  • 作品名:兄を持ち運べるサイズに
  • 英題:BRING HIM DOWN TO A PORTABLE SIZE
  • 公開日:2025年11月28日(金) 全国ロードショー
  • 監督・脚本:中野量太(『湯を沸かすほどの熱い愛』『浅田家!』)
  • 原作:村井理子『兄の終い』(CEメディアハウス刊/実体験をもとにしたノンフィクションエッセイ)
  • 上映時間:127分/G/日本映画
  • 配給:カルチュア・パブリッシャーズ
  • ジャンル:家族ドラマ/ヒューマン

キャッチコピー的に公式サイトでは、

世界一迷惑な兄が、突然死んだ。集まったのは兄の元嫁と娘と息子、そして妹の私。

というフレーズで紹介されています。


あらすじ(ネタバレなし)

作家として働く主人公・理子のもとに、ある日突然、警察から一本の電話がかかってきます。
内容は「何年も会っていない実の兄が、東北のアパートで亡くなった」という訃報でした。

兄と一緒に暮らしていたのは、小学生の息子・良一。第一発見者も彼でした。
兄はお金にも生活にもだらしなく、子どもの頃から理子を振り回し続けてきた“迷惑な兄”。理子は、

「一刻もはやく、兄を持ち運べるサイズにしてしまおう」

と心の中でつぶやき、兄の遺体を引き取りに東北へ向かいます。

警察署で理子は、7年ぶりに兄の元妻・加奈子と、その娘・満里奈と再会。
兄を荼毘に付し、さらに兄が暮らしていたゴミ屋敷と化したアパートを3人で片付けることになります。

壁には、たくさんの家族写真。
子ども時代の兄と理子、そして兄・加奈子・満里奈・良一の「兄が築いた家庭」の姿が残っていました。

「同じように迷惑をかけられたはず」の元妻・加奈子は、兄の後始末をしながら悪態をつき続ける理子に、ふとこう言います。

「もしかしたら、理子ちゃんには、あの人の知らないところがあるのかな」

そこから始まるのは、兄の人生を「終う」ための、怒って笑ってちょっと泣く4日間。
遺体の引き取り、火葬、アパートの片付け、甥・良一のこれから——
バラバラだった家族が、兄という存在を通じてもう一度「家族とは何か」を見つめ直していく物語です。


キャスト

  • 村井理子(妹・作家):柴咲コウ
  • 兄:オダギリジョー
  • 元妻・加奈子:満島ひかり
  • 満里奈(兄と加奈子の娘):青山姫乃
  • 良一(兄と暮らしていた息子):味元耀大

ほか、斉藤陽一郎、岩瀬亮、浦井のりひろ、村川絵梨、不破万作、吹越満など、実力派キャストが脇を固めています。

主人公・理子は原作者の村井理子さんがモデルで、実名でのキャラクター化になっているのもポイントです。


スタッフ

  • 監督・脚本:中野量太
    • 『湯を沸かすほどの熱い愛』『浅田家!』など、一貫して「家族」を描いてきた監督の5年ぶりの新作。
  • 原作:村井理子『兄の終い』(CEメディアハウス/2020年刊)
  • 音楽:世武裕子
  • 配給:カルチュア・パブリッシャーズ

原作『兄の終い』は、著者の実体験をもとにしたエッセイで、
「憎かった兄が死んだ。残された元妻、息子、私(いもうと)――怒り、泣き、ちょっと笑った5日間。」
というキャッチで紹介されています。映画はこの5日間の“修羅場”を4日間の物語として再構成している形です。


見どころ・テーマ

  • 「迷惑な家族」をどう終うか、どう許すか
    兄は“世界一迷惑な兄”とまで言われる存在ですが、完全には嫌いきれない。その複雑さを、理子の視点で描きます。
  • 怒り・笑い・悲しみが混ざったリアルな感情
    泣きっぱなしの悲劇でもなく、コメディ一色でもない、「ちょっと笑って、ちょっと泣く」トーンが原作・映画ともに評価されています。
  • “家族写真”が象徴するもの
    ゴミ屋敷の壁に貼られた家族写真が物語の鍵になっており、兄の知らなかった一面や、家族それぞれの時間がそこから立ち上がってきます。
  • 「明日のあなたの真実」かもしれない物語
    監督自身が「自分の身にも起こるかもしれない話」「明日のあなたの真実になるかもしれない」とコメントしていて、“他人事ではない家族の物語”として作られているのもポイントです。